パーパス経営、パーパス・ドリブンとは?【パーパス導入の3つのメリット】
最近『パーパス経営』って言葉を聞くけど、何のことだろう?
なんとなくは分かるけど、ちょっと理解が浅いかもしれないなー。
結局、パーパス経営って何がいいの?
『パーパス経営』を表明する企業が増えてきました。
今回は、今さら聞けない『パーパス』や『パーパス・ドリブン』という考え方について、できるだけ分かりやすく解説します。
これからの経営を考える上で、一つの潮流になりつつありますので、「なんとなくは理解してるけど、活用までできていないなー」という方は、ぜひ記事を読んでみてください。
【30秒でわかる、この記事の内容】
パーパスとは、『存在意義』のことです。
企業に置き換えると、『自社は何のために存在するのか?』という問いへの答えになります。
この『パーパス』を基軸に置いた経営を『パーパス経営』と言います。
『パーパス・ドリブン』とは、『物事全てがパーパスを軸として始まっている状態』のこと。
企業においては『組織内でパーパス(自社の存在意義)が共有され、商品・サービスに反映されている状態』のことです。
簡単に言うと、『パーパス』とは、『その企業の存在理由であり、企業活動の全てのよりどころであり、一貫したブレない軸』だと思ってもらえればOKです。
経営理念に近いものですね。
ただ、経営理念とは違う性質もあります。(本編で詳しく違いを説明しています)
そして、そのパーパスを導入することでもたらせれるメリットですが、大きく3つあります。
①より良い意思決定につながる
②従業員のロイヤリティや自律性の促進が期待できる
③持続可能な開発につながる
また実際に、これらのパーパスを経営に取り入れて成果を出している企業の例も少し載せてみました。
『パーパス』は、トレンドとしても理解しておきたい用語の1つですので、気になる方は、ぜひ続きも読んでみてください!
今回の内容
では、さっそくいきましょう。
パーパスとは?パーパス経営とは?
パーパスとは?
パーパスとは、『存在意義』の事です。
本来、パーパスには『目的』や『意図』といった意味があるのですが、ここ最近ビジネス現場で使われている『パーパス』は、この『存在意義』の意味で使われています。
パーパスとは?
パーパスとは、自社の『存在意義』のこと
企業の立場でとらえると、『何のために自社は存在しているのか?』という問に対しての答えが、すなわちパーパスであるということです。
「う・・・ん?」
まあ、簡単にとらえてもらうのであれば、経営理念に近いものだと思います。
従来の経営理念とパーパスとの関係性をちょっと見てみましょう。
『ビジョン・ミッション・バリュー』の3つで企業理念は構成されています。
その核となる部分が『経営理念』なわけですが、ここに『パーパス』が入るという感じです。
「なんだよ、だったら横文字使わないで、経営理念って言ってよ。」
そんな風にも思っちゃうかもですね。
でも、実は経営理念とは、ちょっと違う部分もあるんです。
それは、パーパスが『社会とのつながり』に重きを置いている点です。
経営理念は、その企業の核となる部分であり、全ての企業活動がその経営理念に沿って行われていますよね。
その点は同様なのですが、パーパスでは、より自社の『社会における存在意義』にフォーカスしています。
「何のために、自社はこの世に存在しているのか」
「何を売るか」ではなく、「なぜ売るのか」
「何をつくるか」ではなく、「なぜつくるのか」
自社の企業活動が、社会全体にどのような影響を及ぼしているのか、というところを重視しているのが、パーパスです。
ここが、経営理念と大きく違うところです。
またもう1点、違う部分があります。
それは、経営者が変わっても、パーパスは(あまり大きく)変わらない、という点です。
経営理念は、経営者が変わると変わってしまうケースが多くあります。
それはそれで良いのですが、パーパスは社会とのかかわりを重視しているので、たとえ経営者が変わったとしても、大きく変わることはありません。
なぜなら、その会社と社会とのかかわり方に重きが置かれているのがパーパスだからです。
社会とこんな風にかかわって企業活動を進めていきますよ、という表明に近いものなので、ころころ変えられるものでもないんですね。
だからこそ、支持され、信用されるという部分もあるかと思います。
といった感じで、パーパスについては、なんとなく理解して頂けたでしょうか。
パーパス経営とは?
パーパス経営とは、パーパスに軸を置いた経営の事です。
前の章で、パーパスについて見てきました。
パーパス=企業の存在意義でしたね。
自社が、社会においてどのような存在であるかという『存在意義』を意識し、このパーパスを重視した経営を行うことで、社会に貢献していくことを目的とする経営スタイルのことを『パーパス経営』と呼んでいます。
パーパス経営とは?
パーパス経営とは、パーパス(自社の存在意義)を重視した経営を行うことで、社会に貢献することを目的とする経営スタイル
簡単に言うと、「私の会社は、社会にこんな価値を提供する会社ですよ」ということを明確にした上で、それに沿って経営をして、社会に貢献すること=『パーパス経営』です。
自社が、社会にどのように貢献していくのか。
ここを明確にすることがポイントとなっています。
パーパス・ドリブンとは?
パーパス・ドリブンとは、『すべての物事が、パーパスを軸として始まっている状態』のことです。
「なんのこっちゃ?」
もともと『ドリブン』とは、ビジネス用語では『~を起点にした』『~をもとにした』という意味で使われます。
データ・ドリブンとかカスタマー・ドリブンとか、聞いたことないでしょうか。
それと一緒で、パーパスドリブンとは、『パーパスを起点とした』企業活動のことを指します。
つまり、企業におけるパーパス・ドリブンとは、『組織全体でパーパスが共有され、商品・サービスにそれらが反映されている』状態を指します。
パーパス・ドリブンとは?
パーパス・ドリブンとは、企業活動全て(商品、サービス、行動、思想)にパーパスが反映されている状態のこと
例えば、『動物に優しい世界を作る』というパーパスを掲げている会社が、動物皮を使用しない皮目柄のハンドバックを作る、みたいな感じです。
これはちょっと簡単すぎる例でしたね。
ご自身の会社に置き換えてみたらどういう感じになるか、ぜひ一度考えてみても面白いかもしれません。
これが、パーパス・ドリブンという言葉の意味になります。
パーパスを取り入れることの3つのメリット
さて、ここまでパーパスに関する言葉の意味を見てきました。
ここからは、実際にパーパスが企業にどのようなメリットをもたらすのかを、見ていきたいと思います。
パーパスを経営に取り入れる3つメリット
パーパスを企業経営に取り入れることのメリットは、大きく3つあります。
パーパス経営3つのメリット
1.より良い意思決定につながる
2.従業員のロイヤリティや自律性の促進
3.持続可能な開発につながる
一つずつみていきましょう。
1.より良い意思決定につながる
まず第一に、より良い意思決定を行いやすくなります。
パーパスは、企業にとって重要な方針を決める際の『道しるべ』です。
大枠の方向性が決まっているからこそ、意思決定がブレずに、重要な物事だけに焦点を当てやすくなるんです。
例えば、『地域の交通に貢献する』というパーパスを掲げている中古車販売店さんが、売上拡大を考えたとします。
この場合、「インターネットを利用して、もっと広域からの集客を強化しよう!」という案が出たとしたら、どうでしょうか?
確かに、今の時代に合った魅力的な提案です。
しかしながら、パーパスとは反する内容なので、今まで築き上げてきた信頼や強みがなくなってしまう可能性もあります。
パーパスを意識して売上拡大を考えた場合、例えば、
「地域の方を対象とした、簡単な車のメンテナンス講習会をやろう!」とか、
「もっと地元の方に知って頂けるように、地方紙に広告を出そう!」
みたいな提案のほうが、会社のあり方とブレが少なくなります。
こんな風に、パーパスを意識すると、おのずとやるべき事、やるべきでない事が明確になるため、意思決定がしやすくなります。
2.従業員のロイヤリティや自律性の促進
多くのパーパスでは、『自社が社会にどのような貢献をしていくか』を明確に表明しています。
ですので、働く従業員からしても、「オレはこの仕事で、こんな風に社会貢献できているんだ。」という貢献意識が生まれやすいです。
その結果、自分の会社や自らの業務に対して、誇り(ロイヤリティ)が持てるようになります。
また、「こんな仕事、くだらない」などというネガティブな気持ちも減って、前向きな姿勢が増えることが期待されます。
なぜなら、自分の仕事と社会とのつながりがクリアになるからです。
自分の仕事が『お金のためだけ』よりも、『社会のため』さらには『そこで生きている自分の子供たちのため』みたいなところまで理解を進めることができれば、やらされ仕事から自主的にやる仕事への変換も期待できます。
少なくとも、「何のために、こんな仕事しているんだ?」という迷いを払拭し、前向きに働くモチベーションにつなげることは出来そうです。
3.持続可能な開発につながる
最後は、持続可能性です。
昨今、SDGsが話題ですね。
『持続可能な開発目標』として国連が掲げているものですが、パーパスは、これに通じるものでもあります。
なぜなら、自社だけでなく、社会とのかかわりを重視しているのがパーパスだからです。
「自分の会社だけ、もうければいい」などと言って、廃油を川に捨ててしまうとか、山に粗大ごみを捨ててしまうとか、社会との関係性を切り離しての成長は、もうこの先の未来にはありません。
確かに、かつての高度経済成長期には、社会を無視した行動でも成長できる環境はありました。
しかし今は違います。
むしろ、社会が良くならないと企業も良くならないという、以前とは逆のサイクルが回り始めています。
『廃油を川から除去して綺麗な川にする』『山にある粗大ごみを撤去する』などの社会貢献活動を通じて、社会や消費者から支持が得られ、それにより企業としても成長していく。
そんなWin-Winな関係性を築くことができるのも、パーパスを軸とした企業活動のメリットです。
パーパスを軸にした企業活動を長期的・継続的に行っていくことで、より持続可能な活動につながっていくと思います。
実際のパーパス導入企業の例
では実際に、パーパスを導入して成功している企業の例をみてみましょう!
ソニー
日本でパーパス経営の先駆者と言えば、ソニーです。
ソニーは、2019年に以下のパーパスを発表しました。
クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。
(引用:Sony’s Purpose & Values)
発表当時から、世界はコロナに見舞われ、通常の業務すら困難な状況だったと言います。
しかし、社員1人1人がこのパーパスを深く理解し、共感したことで、『プレイステーション5』や『鬼滅の刃・無限列車編』などに尽力し、大成功をおさめます。
その結果、2020年はコロナ真っ只中になりながら、過去最高益を出すに至りました!
個人的に今でも覚えているのは、『鬼滅の刃・無限列車編』です。
当時はコロナ真っ最中で、映画館で上映する予定だった作品が、ことごとく延期。
ディズニー作品でさえ、上映延期を決めていました。
そんな中、『鬼滅の刃』が10月に上映決定。
通常、映画の上映は、映画館のスケージュールや広報活動などの為、上映開始の5~6か月前までに決定しなければいけません。
なので、『鬼滅の刃』チームは、緊急事態宣言が出ていた5月のゴールデンウイーク中に、上映を決定したということになります。
コロナで映画館に誰も来てくれなかったら、大赤字になるかもしれない。
もし来てくれたとしても、感染者が出たら、映画そのものがダメになるかもしれない。
こんなリスクをとってでも、パーパスに沿った『感動を届けたい』との思いが、大成功に導いたのだと感じました。
案の定、他の作品はことごとく延期だったため、どこの映画館も『鬼滅の刃』一色でした。
作品の良さはもちろんですが、この強い思いで上映したことにこそ、成功の要因があったのではないかなーと思います。
と、ちょっと脱線しました。すみません。
というように、パーパスによって企業がうまく回った好例だと思います。
もっと詳しく知りたい方は、『パーパス ソニー』で検索してみてください。
まとめ
最後に、パーパスについて簡単にまとめます。
パーパスとは、『存在意義』のことであり、『自社は何のために存在しているのか』という問いへの答えです。
そして、そのパーパスを軸にして、社会貢献を目的に経営していくことが、パーパス経営です。
パーパス・ドリブンとは、パーパスが企業活動全ての起点にあり、その商品・サービス・行動・思想に至るまで、パーパスが反映されている状態を指します。
真に、企業内でパーパスが共有されて活動している状態の事ですね。
パーパスは、経営理念と近い概念ですが、2つの大きな違いがあります。
・社会とのつながりに重きを置いていること
・経営者が変わっても(大きくは)変わらないこと
特に社会とのかかわりを重視し、『自社が社会に提供している価値は何か?』を明確に表明していることが、ポイントとなります。
また、パーパスを取り入れることのメリットは3つ。
1.より良い意思決定につながる
2.従業員のロイヤリティや自律性の促進
3.持続可能な開発につながる
いずれも、社会と企業がWin-Winになる関係性が大切です。
というところで、今回は以上です。
パーパス、なんとなく理解して頂けたでしょうか。
今回の内容が、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
また、話題のビジネス用語などを取り上げて解説していきたいと思いますので、よろしくお願いします!