インボイス制度って何?【うちも登録すべきなの?にお答えします!】
インボイス制度って最近聞くなぁ。
うちも、それしたほうがいいのかな?
というか、インボイス制度って何?
今回は、こんな悩みにズバッとお答えいたします!
分かりやすさを最優先で、『どんな制度なのか、どんな事業者が登録申請すべきなのか』を理解してもらうことに焦点を当てています!
ですので、申請方法や期限などの細かなことは、今回省かせて頂きました。
それはまた次回以降、ご説明したいと思います。(大丈夫、まだ時間はあります)
また、細かなところの説明もちょっと雑になっていますので、その辺はご容赦ください><
それでは、始めていましょう!
今回の内容
さっそく、どんな人がインボイス制度を申請すべきかの早見表を付けておきます。
申請した方がいいのかどうかの目安になりますので、確認してみてください。
この表の根拠は、次からゆっくり説明していきますね。
インボイス制度って何?
インボイス制度とは、ザックリいうと、『消費税などの複数の税金のやり取りを請求書(インボイス)でやろうね』という制度です。
今まで、消費税の計算ややり取りは、個別の帳簿でやっていました。
その事業者が年間でいくら位の消費税を受け取って、いくら位納めなくてはいかないかは、その事業者の決算帳簿から把握していたのですが、これを1回1回の取引ごとの請求書でやりましょうってことに変わります。
これが、今回新しく導入されることになった『インボイス制度』です。
(詳しい方から見たら怒られそうな説明ですが、分かりやすさを優先させていますので、ごめんなさい)
それで、何が変わるの?
では、そのインボイス制度の導入によって何が変わるのでしょうか?
大きく言うと、以下の2つの影響があります。
インボイス制度で変わること
インボイス制度に登録している業者(適格業者)の請求書にのみ、消費税が認められるようになる。
その結果
⇒①免税業者のままだと、取引先を失う可能性が高くなる
⇒②取引先が免税業者の場合、消費税を2重で負担するケースがでてくる
免税業者とは、年間売上が1000万円以下の小規模な事業者のことです。
この免税事業者は、今まで「消費税納めなくっていいよ」ってことになってました。
じゃあ、この免税事業者がもらった消費税は?
そう、そのまま懐にいれて利益にしていたんです。
これを益税っていいます。
この益税で、小さな事業者は結構助かっていたと思います。
インボイスの申請をする(これを適格事業者になると言います)と、免税事業者ではなくなるため、消費税の益税はもらえなくなります。
「えー、じゃあ適格事業者にならないで、免税事業者のままのほうがいいじゃん!」
ってなりますよね?
しかし!そのままだと、大切なお客様を失うかもしれないんです!
なぜなら、免税業者のような適格事業者ではない事業者から発行された請求書では、仕入税額控除が受けられなくなるからです。
仕入税額控除・・・?
それを知るために、まずは簡単に消費税の仕組みを見てみましょう。
簡単説明!消費税の仕組み
消費税は発生してすぐに納めているものではなく、いわば『預かり』で回しています。
例えば、消費者が商品を購入した際に支払った消費税は、その販売事業者がいったん『預かり』ます。
逆に、販売事業者も、仕入先やメーカーから商品を仕入れた際には、消費税を支払います。
この『預かった消費税』ー『支払った消費税』=『国に治める消費税』となるわけです。(下の図を見てみてください)
この例だと、仕入先に消費税30万円支払って、顧客から消費税50万円もらっていますね。
この場合、『預かった消費税50万円』-『支払った消費税30万円』=『国に治める消費税20万円』となります。
これが消費税の仕組みです。
そして、この支払った分と預かった分を差し引きすることを『仕入税額控除』と言います。
つまり仕入税額控除とは、『差し引き分だけ納めればいいよ』という制度なんです。
この仕入控除ができなくなるかも?というのが、実は今回のインボイス制度の一番のポイントとなっています。
次から、実際にインボイス制度に登録しないとどうなるのかについて、具体的にお伝えしていきますね。
インボイス(適格事業者)登録、しないとどうなる?
インボイス制度(適格事業者)登録をしないと、どういうことが起きるのでしょうか。
この記事の最初のほうで、インボイス制度で変わることとして、2つのことを上げていました。
具体的には、これらの影響が出てくることが考えられます。
インボイス制度で変わること
①免税業者のままだと、取引先を失う可能性が高くなる
②取引先が免税業者の場合、消費税を2重で負担するケースがでてくる
①免税業者だった場合、どうして取引先を失う可能性が高くなるのでしょうか。
それは、この仕入税額控除に関係があります。
というのも、インボイス制度が導入されると、インボイス(適格請求書)以外の請求書では、この仕入税額控除ができなくなるんです!
もし仕入先が免税業者だった場合、以下の図のようになります
仕入れた際に支払った消費税30万円が、消費税として認められないんですね。
なので、税務署には、顧客からもらった分の消費税50万円をそっくり納税しなくてはいけません。
そうすると、本来、50万円-30万=20万円でよかったところ、なんと30万円も余分な負担が増えてしまうことになります。
課税業者からしたら、ただただ損してしまうので、「だったら、免税業者じゃなくって、適格事業者から仕入れよう」って発想になりますよね。
これが、①免税事業者のままだと取引先を失ってしまうかもしれない、という影響です。
この事態を回避するため、免税事業者はインボイス制度に登録をして適格事業者になろうとするわけですが、適格事業者になるということは課税事業者になるということなので、免税事業者で得られていた『益税』を失うことになります。
取引先か、益税か。
この辺がひとつ、免税事業者の大きな判断になりそうです。
次に、②取引先が免税業者の場合、消費税を2重で負担するケースがでてくる、の影響を見てみます。
これは、先ほどの①と見方が変わっただけで、一緒のことを言っています。
課税事業者側からの視点ですね。
仕入先に免税事業者がいる場合は、仕入税額控除が利用できなくなりますので、注意が必要です。
「その業者が唯一無二でどうしても必要」という場合には、やむを得ないケースもあるかと思います。
その辺はしっかりと取引先を把握したうえで、対応してください。
ただし、こんなことを言ってはだめです。
例えば、「おたく、適格事業者じゃないから、消費税は払いませんよ」とか、「消費税分、本体価格を値引きして」などというのは、独占禁止法に抵触する可能性があります。
たとえ免税業者だとしても、消費税を請求するのは法律上全く問題ないからなんです。
グレーなゾーンでいえば、消費税を請求される前に、「消費税を請求しないでほしい」とお願いすることは可能なようです。
まあ、どちらにしても、課税業者にとって、適格事業者以外から仕入れることは、非常にデメリットが大きいので、取引自体の見直しに迫られる可能性があります。
結論:インボイス制度を利用するべき人、しないでいい人
最後にまとめで、インボイス制度を利用すべき人、しないでいい人を見てみます。
①年間売上1000万円以上の事業者は、すでに消費税を100%納めている課税事業者です。
②年間売上1000万円以下であっても、自ら選択すれば、課税事業者になれます。
この2つの事業者は、インボイス制度に登録して適格事業者になることで被るデメリットはほとんどありませんので、しっかりと申請をしましょう。
③免税事業者でかつ、顧客に法人が多いというケース。
例えば、板金工場さんや電気修理、ガラス修理などの業者さんですね。
このケースにおいては、今まで説明してきた通り、顧客が仕入税額控除ができないことを嫌がって、取引を続けてもらえない可能性があります。
ですので、状況にもよりますが、適格事業者になるために申請をした方がよさそうです。
④免税事業者でかつ、相手が消費者が多いというケース。
例えば、一般人にしか販売していない中古車販売店さんとか、個人でやってる整備業者さんとかです。
実はこのケースでは、免税事業者でいた方が有利なケースが多いです。
というのも、免税業者であることの問題は、その請求書で仕入税額控除ができない、ということ。
つまり、一般の最終消費者にとっては、ほとんど関係のないことなんです。
ですので、商売相手がほとんど一般消費者だという場合、消費税を支払わず益税を得た方が有利なケースが多くなるんじゃないかなと思っています。
どちらにしても、ご自身の状況をよく確認して、対応するようにしてしてみてください!
最後に、申請期限について、簡単にご紹介しておきます
インボイスが導入されるのは、2023年10月1日から。
そのスタートからインボイスを発行するためには、原則として2023年3月31日までに申請登録手続きを済ませておかなければなりません。
前年に手続きすることで、翌年から適用されるのが原則です。
ただ、2023年は特例として、3/31までに手続きをすれば、同じ年の10/1(制度開始時)から適用されます。
それを過ぎると、制度開始直後から対応できなくなってしまいますので、注意が必要です。
というところで、今回は以上になります。
具体的な手続き等に関しては、また別の記事で詳しく書く予定です。
今回は、「インボイス制度って何?誰が利用すべきなの?」といテーマで書いてみました。
説明がかなり雑な部分もありましたが、少しでも参考にして頂けたら嬉しいです。
また、追記もしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします!